筋肉を増やしたいなら、筋トレだけでなく、食べる量も重要です。ところが増量を始めると、「1日3000kcal食べればいい?」「500kcal多く食べる?」「たくさん食べるほど筋肉も増える?」と迷います。結論から言えば、

万人共通の増量カロリーはありません。まず自分の維持カロリーを推定し、そこへ小さなカロリー余剰を加え、実際の体重変化を見ながら調整するのが現実的です。

研究でも「筋肥大に最適なカロリー余剰量」はまだ明確に確立されていません。(参考文献1)

体重は速く増えるかもしれませんが、筋肉だけが速く増えるとは限りません。

この記事の結論

増量を始めるなら、維持カロリー+約200〜300kcal程度の小さな余剰からスタートする方法が扱いやすいです。その後、2〜3週間程度の平均体重を確認して、

増えない
→100〜200kcal追加

増えすぎる
→100〜200kcal減らす

と調整します。

一般的なスポーツ栄養では+300〜500kcal/日がよく紹介されますが、その数値が最適であることを直接証明する強い研究は限られています。(参考文献1・3)

そもそも増量とは?

筋トレでいう増量は、筋肉を増やすために、消費エネルギーより少し多くエネルギーを摂る期間です。英語では、calorie surplusや、energy surplusなどと呼ばれます。例えば維持カロリーが、2500kcal

なら、2700〜2800kcal程度へ増やす、というイメージです。

なぜカロリー余剰が必要なの?

新しい組織を作るにはエネルギーが必要です。また十分なエネルギーがあることで、

  • トレーニング

  • 回復

  • 筋タンパク質合成

などを支えやすくなります。一方、長期間のエネルギー不足は筋肉量増加を妨げます。

メタ分析では、カロリー不足の状態ではレジスタンストレーニングによる除脂肪量増加が低下し、約500kcal/日の不足では除脂肪量増加が阻害される可能性が示されました。(参考文献2)

じゃあ余剰カロリーが多いほど筋肉が増える?

ここが重要です。そうとは限りません。筋トレ経験者を対象にした研究では、より速く体重を増やしても、筋肉・筋力の増加が同じ割合で大きくなるわけではなく、主に脂肪増加が大きくなる傾向が報告されています。(参考文献5)つまり、

+1000kcal食べれば+200kcalの5倍筋肉がつくということではありません。

残念ながらそうです。

「+300〜500kcal」は絶対?

スポーツ栄養のガイドでは、+300〜500kcal/日がよく紹介されます。

2022年のレビューでも、アスリートの体重増加戦略として300〜500kcal程度の追加が一般的であることがまとめられています。(参考文献3)ただし同レビューでは、

週約0.45kgを主に除脂肪量として増やすことは、人によっては難しいと指摘されています。さらにエネルギー余剰と筋肥大を扱ったレビューでは、最適な余剰量を決める研究は不足しているとされています。(参考文献1)そのため、

300〜500kcalを絶対値として扱わない方がいいでしょう。

むきまる式:増量カロリー設定4ステップ

STEP1:維持カロリーを推定

まず現在の体重がほぼ変わらない食事量を確認します。例えば、平均2500kcal食べて、1か月体重がほぼ同じ。なら、2500kcal前後が現在の維持カロリーの可能性があります。

STEP2:200〜300kcal追加

例えば、

2500kcal
+250kcal

=2750kcal。まずこのくらいから始めます。

STEP3:毎朝体重を測る

できれば、

  • 起床後

  • トイレ後

  • 朝食前

など、同じ条件で測ります。1日の数字ではなく、7日平均を見ます。

STEP4:2〜3週間ごとに調整

平均体重が、まったく増えないなら、+100〜200kcal。逆に急激に増えて、腹囲や体脂肪もかなり増えているなら、-100〜200kcal。これを繰り返します。

増量の体重増加ペースは?

自然なボディビルダー向けレビューでは、初心者〜中級者について、週あたり体重の約0.25〜0.5%程度の増加が一つの実践的目安として提案されています。(参考文献4)例えば70kgなら、

0.25%

約0.18kg/週

0.5%

約0.35kg/週です。ただしこれは、すべて筋肉として増えるという意味ではありません。また、より経験豊富なトレーニーほど余剰を保守的にした方がよいという提案もあります。(参考文献4)

体脂肪を増やしたくないなら?

増量で脂肪増加を完全にゼロにするのは難しい場合があります。そのため、速く体重を増やしすぎないことが一つの方法です。筋トレ経験者の研究でも、速い体重増加は主に皮下脂肪の増加を大きくする傾向がありました。(参考文献5)

3000kcal必要?

これは人によります。例えば、

Aさん

維持2000kcal→3000kcalなら+1000kcal

Bさん

維持2900kcal→3000kcalなら+100kcal同じ3000kcalでも意味がまったく違います。そのため、「増量=3000kcal」という固定値は使えません。

維持カロリーの計算式は正確?

身長、体重、年齢、活動量から推定できます。ただし計算式はあくまで推定です。最終的には、実際に食べたカロリーと平均体重の変化を見る方が役立ちます。

増量カロリーの具体例

維持カロリー:2400kcalとします。

スタート

2650kcal

2週間後

体重変化ほぼなし。→2800kcalへ。

さらに2週間後

週約0.2kg増。→そのまま継続。これでOKです。

タンパク質量は?

増量中でも、体重×1.6g前後を一つの基準にできます。自然なボディビルダー向けレビューでは1.6〜2.2g/kg/日が推奨範囲として提案されています。(参考文献4)プロテインを大量に増やすより、

必要量を確保したら残りのカロリーを、

  • 炭水化物

  • 脂質

へ回します。

増量中は炭水化物も重要

筋トレはエネルギーを使います。そのため炭水化物を極端に減らして、タンパク質だけ大量に摂る必要はありません。

ボディビルダー向けレビューでは、残りのカロリーを炭水化物へ配分し、トレーニング需要を支えることが提案されています。(参考文献4)

脂質もゼロにしない

脂質も身体に必要な栄養素です。増量だからといって、タンパク質と炭水化物だけにする必要はありません。食事全体のバランスを考えます。

ジャンクフードでカロリーを増やしていい?

「カロリー余剰を作る」だけなら可能です。しかし、増量期も健康や栄養を考えれば、基本は、

  • 米

  • 肉

  • 魚

  • 卵

  • 乳製品

  • 野菜

  • 果物

  • ナッツ類

などから組み立てる方がいいでしょう。食事量が足りない場合には、エネルギー密度の高い食品や液体食品を活用する方法もあります。(参考文献3)

カロリーを増やす簡単な方法

例えば現在の食事へ、

  • ご飯を50〜100g増やす

  • バナナを追加

  • 牛乳を追加

  • ヨーグルトを追加

  • 卵を追加

  • ナッツを少量追加

などです。一気に食事内容を変える必要はありません。

増量しているのに体重が増えない

一番多い原因は、実際にはカロリー余剰になっていないことです。「かなり食べているつもり」でも、活動量が非常に多ければ維持カロリーだった、ということがあります。その場合は少し追加します。

増量して急に太った

例えば、1か月で4kg増えた。筋肉だけが4kg増えた可能性は低いでしょう。カロリー余剰を少し小さくして、増加ペースを落とす方法があります。

よくある質問

増量は+500kcalでいい?

一般的に使われる数値ですが、全員に最適とは証明されていません。まず小さめの余剰から調整する方法があります。(参考文献1・3)

体重が増えないなら?

摂取量を100〜200kcal程度増やして、再び2〜3週間確認します。

早く太れば筋肉も早く増える?

大きな余剰は脂肪増加を大きくする可能性があります。(参考文献5)

増量中も有酸素運動していい?

可能です。ただし消費量が大きくなるので、体重が増えない場合は食事量を調整します。

まとめ

増量期のカロリー設定に、全員共通の正解はありません。おすすめは、

維持カロリーを把握
↓
小さな余剰を作る
↓
平均体重を測る
↓
少しずつ調整

です。まず、+200〜300kcal程度から始め、身体の反応を見ましょう。