筋肉をつけるには、結局なにをすればいい?
「筋トレを始めたけど、何をすれば筋肉がつくの?」「プロテインを飲めば大きくなれる?」「体重を増やした方がいい?」筋トレを始めると、こんな疑問が次々と出てきます。でも、最初に覚えることはそれほど多くありません。
筋肉をつけるために重要なのは、大きく分けて次の4つです。
筋肉に十分な刺激を与える
十分なタンパク質を摂る
エネルギー不足を避ける
回復する時間を確保する
この4つを継続できれば、筋肥大の土台はかなり整います。
そうなんです。筋肉はトレーニングしている最中にその場で大きくなるわけではありません。トレーニングで刺激を与え、食事から材料とエネルギーを補給し、その後に回復する。この繰り返しが筋肉を大きくしていく基本です。
結論:初心者はこの5つから始めよう
細かい話の前に、まず結論です。筋肉をつけたい初心者は、
週に複数回の筋トレを続ける
1回だけでなく複数セット行う
毎日十分なタンパク質を摂る
痩せている人はカロリー不足を避ける
重量・回数・セットなどを少しずつ伸ばす
ことから始めましょう。特別な方法よりも、この基本を数か月単位で継続する方が重要です。
1. 筋肉をつける一番重要な刺激は筋トレ
筋肉を増やすための中心になるのが、レジスタンストレーニング、いわゆる筋トレです。
2023年に発表された大規模なネットワークメタ分析では、119研究・3,364人の筋肥大データを検討した結果、調査されたさまざまな筋トレ方法はいずれも「何もしない」場合より筋肥大を促しました。特に筋肥大では複数セットを行うことが重要な要素として示されています。 [2]
必ずしもそうではありません。研究では、軽めの重量から重い重量まで、十分な刺激を与えれば筋肥大は起こり得ます。
限界まで行ったセットを対象にした2021年のメタ分析でも、低負荷と高負荷のトレーニングで筋肥大の程度に大きな差は確認されませんでした。一方、最大筋力を伸ばす目的では重い重量を使う方が有利でした。 [3]つまり、
筋肉を大きくする=超高重量しか意味がないというわけではありません。初心者ならまず、フォームを保ちながらしっかり反復できる重量を選ぶ方が取り組みやすいでしょう。
2. 毎回限界まで追い込まなくても筋肉はつく
筋トレでは、「限界までやらないと意味がない」と言われることがあります。しかし、研究結果はそこまで単純ではありません。
トレーニングを完全な限界まで行う場合と、限界になる少し前で止める場合を比較したメタ分析では、毎セット完全に限界まで行うことが筋肥大に必須だという証拠は確認されていません。 [4]
大丈夫です。むしろ初心者が毎回限界まで追い込むと、
フォームが崩れる
疲労が大きくなる
次のセットの質が落ちる
筋トレ自体が嫌になる
といった問題も起こりやすくなります。大切なのは、楽すぎるトレーニングではなく、しっかり努力が必要なセットを継続して積み重ねることです。
3. 筋トレは週何回やればいい?
「毎日鍛えた方が早く筋肉がつくのでは?」と思うかもしれません。しかし筋肥大では、単純に回数を増やせばいいわけではありません。
筋トレ頻度に関するメタ分析では、1週間の総トレーニング量が同じなら、頻度そのものによる筋肥大の差は大きくないと報告されています。 [5]つまり、週1回で全部やるか、週2〜3回に分けるか、
という問題では「何曜日に何回やったか」だけを見るのではなく、1週間でどれだけ質の高いトレーニングを行えたかを見る必要があります。初心者の場合は、全身を週2〜3回程度に分ける方法などが実践しやすいでしょう。
続けられることも立派なトレーニング戦略です。
4. タンパク質は筋肉の材料
トレーニングだけしていても、筋肉を作るための材料が不足していては効率が落ちます。そこで重要なのがタンパク質です。
49研究・1,863人を分析した有名なメタ分析では、筋トレをしている健康な成人では、タンパク質摂取量が1日あたり体重1kgにつき約1.6g付近まで増えるにつれて除脂肪量の増加にメリットがみられ、それ以上では平均的な追加効果が小さくなりました。 [1]
例えば体重70kgなら、70 × 1.6 = 約112g/日が一つの目安になります。ただし1.6g/kgという数字を1g単位で厳密に守る必要はありません。
体格、摂取カロリー、食習慣、トレーニング量などによって適切な量には幅があります。
タンパク質が多い食品の例
鶏むね肉
魚
卵
牛乳・ヨーグルト
豆腐・納豆
プロテイン
食事から十分に摂れるのであれば、プロテインは必須ではありません。
5. プロテインは「筋肉をつける薬」ではない
プロテインは、簡単に言えばタンパク質を手軽に摂るための食品です。筋トレをしないままプロテインだけ大量に飲めば、勝手に筋肉が増えるわけではありません。一方、「食事だけだと必要なタンパク質量に届かない」
という人にはかなり便利です。例えば、
朝食:25g
昼食:25g
夕食:35g
で合計85gだった場合、プロテインで20〜30g程度追加すれば、1日の摂取量を調整しやすくなります。つまりプロテインは、筋肉を作る魔法の粉ではなく、食事を補う便利な道具と考えると分かりやすいでしょう。
6. 筋肉を増やしたいなら「カロリー不足」に注意
筋肉を増やしたいのに、食べる量が少なすぎるというケースは珍しくありません。特に、
痩せ型
食が細い
ランニングなどの運動量が多い
仕事でよく動く
という人は、本人が思っている以上にエネルギーを消費している場合があります。
エネルギー不足と筋トレについて調べたメタ分析では、エネルギー不足は筋力の向上よりも、除脂肪量の増加を妨げやすいことが示されています。約500kcal/日のエネルギー不足では、除脂肪量増加が妨げられる可能性が示されました。 [7]
だから、「筋トレしているのに全然身体が大きくならない」という人は、筋トレメニューだけでなく食事量も確認してみる価値があります。
7. 増量=好きなだけ食べる、ではない
では筋肉をつけるなら、毎日好きなだけ食べればいいのでしょうか。これも違います。
エネルギー余剰と筋肥大についてのレビューでは、筋肉を増やす際にエネルギー余剰を設ける考え方には合理性がある一方、最適な余剰量を決める強い研究データはまだ不足しているとされています。 [6]
アスリートの体重増加に関するレビューでは、実践的な方法として1日約300〜500kcal程度増やす方法が一般的に用いられていますが、「それで毎週ほぼ筋肉だけ0.45kg増える」といった期待は現実的でない場合があります。 [9]
さらに、筋トレ経験者を対象にした研究では、より大きなカロリー余剰にして体重を速く増やしても、筋力や多くの部位の筋肥大が比例して増えるとは限らず、皮下脂肪の増加が大きくなる傾向が確認されています。 [8]
その必要はありません。体重が増えない場合は少し食事量を増やし、体重が急激に増えて脂肪が増えすぎるなら少し減らす。体重の推移を見ながら調整するのが現実的です。
8. 体重は1日ではなく「平均」で見る
増量を始めると、「昨日より0.8kg増えた!」「今日は0.6kg減った!」と数字に振り回されがちです。しかし体重は、
水分
塩分
炭水化物
便
食事量
などでも簡単に変わります。そのため、可能なら同じ条件で測定し、1週間程度の平均体重で増減を見る方が分かりやすいです。例えば、
先週平均:65.0kg
今週平均:65.1kg
翌週平均:65.2kg
なら、ゆっくり増えていることが分かります。逆に数週間ほとんど変わらなければ、食事量を少し増やす判断材料になります。
9. 重量や回数を記録する
筋肥大のためのトレーニングでは、「毎回なんとなくやる」より記録を残すことをおすすめします。例えばダンベルプレスなら、
1週目
20kg × 8回 × 3セット
3週目
20kg × 10回 × 3セット
5週目
22kg × 8回 × 3セットというように、少しずつパフォーマンスが上がっているか確認します。筋肉は、今までと同じ刺激に永遠に反応し続けるわけではありません。そのため、
重量
回数
セット数
フォーム
可動域
などを少しずつ改善していくことが重要です。
10. 筋肉をつけるために睡眠も軽視しない
筋肉をつける話になると、筋トレとタンパク質だけが注目されがちです。しかし疲労が強く、睡眠不足でトレーニングの質そのものが落ちてしまえば、長期的な継続にも影響します。
睡眠不足とレジスタンストレーニングの研究にはまだ限界がありますが、睡眠不足が筋力やトレーニングパフォーマンスに影響する可能性が研究されています。 [10]少なくとも、「睡眠を削ってまで筋トレする」
ことを筋肥大の必須条件と考える必要はありません。睡眠もトレーニングを継続するための土台として考えましょう。
筋肉をつけるための初心者チェックリスト
まずは次の項目を確認してみてください。
トレーニング
□ 定期的に筋トレしている
□ 同じ部位に十分な刺激を与えている
□ 1種目1セットだけで終わっていない
□ 重量や回数を記録している
□ 少しずつ成長している
食事
□ タンパク質を毎日摂っている
□ 食事を極端に減らしていない
□ 体重が増えない場合は食事量を見直している
□ プロテインだけに頼っていない
回復
□ 同じ部位を毎日限界まで鍛えていない
□ 疲労が強すぎる場合は休んでいる
□ 睡眠時間を極端に削っていない
全部完璧でなくても大丈夫です。まず1つずつ改善していきましょう。
よくある質問
筋肉をつけるには毎日筋トレした方がいい?
必ずしも毎日行う必要はありません。
週間トレーニング量を同程度にそろえた研究では、頻度そのものによる筋肥大への影響は大きくないとされています。自分が回復でき、継続しやすい頻度に分けることが大切です。 [5]
筋肉をつけるなら高重量が一番?
筋力を高める目的では高重量が有利ですが、筋肥大自体は幅広い重量で起こります。 [3]
毎回限界までやる必要はある?
完全な限界まで行うことが筋肥大に必須という証拠はありません。 [4]
プロテインは飲んだ方がいい?
食事から必要なタンパク質を摂れているなら必須ではありません。ただし必要量に届かない人には便利です。
増量すると脂肪も増える?
カロリー余剰を大きくすると、筋肉だけでなく脂肪も増えやすくなります。大きく食べ過ぎるより、体重の変化を見ながら調整する方が現実的です。 [8]
まとめ:筋肉をつける基本は意外とシンプル
筋肉をつけるために必要なのは、特殊な裏技ではありません。重要なのは、
筋トレ
+
タンパク質
+
十分なエネルギー
+
回復
+
継続
です。筋トレでは、毎回限界まで追い込む必要はありません。食事では、プロテインだけに頼る必要もありません。増量でも、とにかく大量に食べればいいわけではありません。
自分のトレーニングと体重を記録しながら、少しずつ調整していく。これが長期的に身体を大きくするための基本です。
その通り。まずは、
筋トレを続ける。
タンパク質を確認する。
体重を記録する。
この3つから始めてみましょう。
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